この記事では、アメリカの高校生向けに行われるAP Japanese テスト(AP Japanese Exam)が、どのような内容・形式で行われるかについて概要をご説明します。また、それぞれのテスト形式についての注意点や攻略ポイントも簡単に解説していきます。
(Section2 :フリーレスポンスのライティングとプレゼンテーションについて、過去に出題されたトピックのリストを加えました。)
本文中の『AP Japaneseテスト』は全て『AP Japanese Exam』または『The AP Japanese Language and Culture Exam』の事を示します。
AP Japaneseテストで行われる試験形式は全部で6つ
AP Japanese Examのテストは、大きく分けると選択問題とフリーレスポンスの2種類があり、合わせて6つの形式で構成されています。Section 2のフリーレスポンスでは特に、日本語でのコミュニケーション能力や日本の慣習・文化の知識が問われます。また、過去問を参考にして試験形式に慣れておくことも重要です。
Section 1:選択問題
Section 2:フリーレスポンス
- Text Chat(テキスト・チャット)
- Compare and Contrast Article(記述)
- Conversations(会話)
- Cultural Perspective Presentation(プレゼンテーション)
各テストの形式と注意点・攻略ポイントを解説
それぞれのテストについて概要を見ていきましょう。
まずはSection 1 選択問題から解説します。
Listening Selections(聴解問題)
スピーチや公共の場でのアナウンス、ラジオ放送、指示や会話など、6〜7の音声を聴き、それぞれ5問ずつの質問に選択肢から選ぶ形で答えます。質問と選択肢は英語で表記されます(音声ではありません)。
- 試験時間:20分
- スコアの比重:全体の25%
- 問題数:30〜35問
攻略ポイント
- 音声を聞き終わるまで質問文を見ることができません。
- 音声が流れるのは1回だけの場合が多いですが、アナウンスや伝言メッセージなどの時には2回流れる場合もあります。
- 音声が1回だけの場合、メモを取ることに気を取られすぎると他の内容を聞き逃すことがあります。メモを取ることにこだわらず、話の主題や流れを掴むよう集中して聞くようにしましょう。
- 知らない言葉は、話の流れから意味を推測して聞きましょう。
- 2回流れる場合は、2回目の時にキーワードや数字などのメモを取るといいでしょう。
Reading Selections(読解問題)
7〜8のセレクション(問題文)を読み、それぞれ5問ずつの質問に選択肢から選ぶ形で答えます。質問と選択肢は英語で表記されています(音声ではありません)。
- 試験時間:60分
- スコアの比重:全体の25%
- 問題数:30〜40問
攻略ポイント
- 一つのセレクションにつき7-8分を目安に解答していきましょう。
- 先に質問文に目を通してから問題文を読みましょう。
- 時間が足りない時は問題文の全てを読むのではなく、解答のキーになる言葉を問題文の中から探してその前後を読むようにしましょう。
- 文章中の分からない言葉は、漢字から意味を推測するのも有効です。
- 普段から日本語のボキャブラリーを増やし、熟語や慣用句に慣れておきましょう。
ここからはSection 2 フリー・レスポンスについて解説します。
フリーレスポンスでは、日本語でのコミュニケーション能力や日本の慣習・文化の知識が問われます。回答時間の制限もありますので、過去問などを利用して事前準備を入念にしておきましょう。
Text Chat(テキスト チャット)
コンピュータの画面上に日本語で表示されたテキストメッセージを読み、対話形式で一つの質問につき90秒以内に返信を入力します。返信の文章はキーボードを使用して日本語で入力します。
- 試験時間:10分
- スコアの比重:全体の12.5%
- 質問数:6問
攻略ポイント
- 初めの挨拶や自己紹介などは、あらかじめ考えて練習しておきましょう。自己紹介の後の「どうぞよろしくお願いします。」などの決まり文句も忘れずに付けておきましょう。
- 返信する時は、まずは聞かれたことに明確に答えましょう。その後で理由や補足情報などを加えるといいでしょう。
- 代替案の提案など、こちらから積極的にコミュニケーションを働きかけるような返信ができると高ポイントが期待できます。
- チャットの相手が初対面の人という設定の場合は「です・ます」調の丁寧語(Polite Style)で返信しましょう。また、AP Japaneseでは敬語は必須ではありませんが、相手が初対面または大人なら丁寧語、クラスメイトなど親しい同年代ならカジュアルな言い方(Informal Style)など、待遇表現の使い分けができるとさらに良いでしょう。
- 漢字で表記したほうが良い言葉は漢字で入力しましょう。
College BoardのサイトにはAP Japanese漢字リストがありますが、 市販のAP Japanese対策用漢字ワークブックなどを参考にしたほうが分かりやすく、勉強しやすいでしょう。
Compare and Contrast Article(比較・対比記事の作文)
与えられた二つのトピックについて、類似点や相違点を3つ上げながら自分の意見を300〜400字で述べる文章を書きます。文章はキーボードを使用して日本語で入力します。
- 試験時間:20分
- スコアの比重:全体の12.5%
- 文字数:300〜400字
対比記事のトピックは、過去にはこのようなものがありました。
- Taking a challenging class and taking an easy class (2023)
- Having an after-school part-time job and engaging in extracurricular activities (2022)
- Studying in the morning and studying at night (2018)
- Group projects and individual projects (2017)
- Shopping online and shopping at a store (2015)
- Reading a book and watching a movie (2014)
攻略ポイント
- 最初の4〜5分でアウトラインのメモを作ってから文章を入力しましょう(メモは採点されません)。
- 記事は「導入文」「類似点・相違点」「自分の意見」の3部構成で考えましょう。
- 類似点・相違点は忘れずに3つ以上挙げましょう。
- 「Aは○○ですが、Bは××です。」「AのほうがBより◯◯です。」といった比較の構文を使いましょう。
- 文中には必ず自分の意見を入れ、その理由を述べましょう。
- 漢字で表記したほうが良い言葉は漢字で入力しましょう。
College BoardのサイトにはAP Japanese漢字リストがありますが、 市販のAP Japanese対策用漢字ワークブックなどを参考にしたほうが分かりやすく、勉強しやすいでしょう。
Conversation(会話)
録音された音声との模擬会話を行います。挨拶や問いかけなどに返答する形で、4つの質問にそれぞれ20秒以内に日本語で答えます。受験者の返答(音声)は、マイクで録音されます。
- 試験時間:3分
- スコアの比重:全体の12.5%
攻略ポイント
- 初めの挨拶や自己紹介などは、あらかじめ考えて練習しておきましょう。自己紹介の後の「どうぞよろしくお願いします。」などの決まり文句も忘れずに言えるようにしておきましょう。
- 画面上の残り時間に常に気をつけながら返答しましょう。時間が来ると次の質問が流れてくるので、その時にまだ自分が話していると質問を聞き逃してしまいます。
- 返答する時は、まずは聞かれたことに明確に答えましょう。その後で理由や補足情報などを加えるといいでしょう。ただし質問内容がよく分からなかった時は、多少的外れであっても良いので何かしらの返答をするようにしましょう。(黙り込んでしまうと採点の仕様がありません。)
- すぐに返答できない時は「そうですねぇ…(そうだねぇ…)」などと言いながら考える時間を稼ぎましょう。
- 代替案の提案など、こちらから積極的にコミュニケーションを働きかけるような返答ができると高ポイントが期待できます。
- 会話の相手が初対面の人という設定の場合は「です・ます」調の丁寧語(Polite Style)で返答しましょう。また、AP Japaneseでは敬語は必須ではありませんが、相手が初対面または大人なら丁寧語、クラスメイトなど親しい同年代ならカジュアルな言い方(Informal Style)など、待遇表現の使い分けができるとさらに良いでしょう。
Cultural Perspective Presentation(プレゼンテーション)
日本の事柄について一つトピックが与えられ、それについて文化的な視点から5つの項目を上げて自分の意見をまとめ、日本語で発表(プレゼンテーション)します。受験者のプレゼンテーション音声はマイクで録音されます。
- 試験時間:7分(準備時間4分、発表時間2分)
- スコアの比重:全体の12.5%
プレゼンテーションのトピックは、過去にはこのようなものがありました。
- Family activities in Japan (2023)
- Japanese stores (2022)
- Japanese historical places (2021)
- Japanese housing or building (2019)
- Japanese technology and inventions (2018)
- Japanese geography (2017)
- Japanese toys or/and games (2016)
攻略ポイント
- プレゼンテーションの初めと終わりの挨拶は、決まり文句としてあらかじめ考えておきましょう。
例:「こんにちは、(名前)です。これから(Topic)について発表します。」
例:「これで終わります。ありがとうございました。」 - 4分の準備時間では、トピックについて話す項目を手早く5つ考えます。
一つ一つの項目について原稿を作るほどの時間は無いので、何を話すかの項目とキーワードだけ考えてメモを作っておきましょう。 - 「まず初めに(第一に)」、「次に(第二に)」など順序を表す言葉を使って分かりやすく話しましょう。
- 最後には必ず自分の意見を入れ、理由も説明しましょう。
- 準備時間が終わりプレゼンテーション開始の合図が出たら、すぐに話し出すようにしましょう。
まとめ
以上、AP Japaneseテストの形式とポイントをざっとご紹介しました。Section2は実際に日本語を話したり書いたりするテストで、しかも日本語の漢字や文法知識だけでなく日本の地理・文化・慣習などを知らないと答えられない質問が多く出されます。普段から日本のニュースや話題に関心を持ったり、生活習慣や文化に触れるよう心がけておくのが大切です。
テストの詳細については、一次情報としてCollege Boardのこちらのページからもご確認いただけます。