ご家庭でお子さんと何かを数える時、どんな風に数えていますか?
例えばリンゴやキャンディなどを数える時。
1こ、2こ、3こ・・・?
それとも ひとつ、ふたつ、みっつ・・・?
どちらかといえば「1こ、2こ、」のほうが子どもには覚えやすいし、割と何にでも使えるので便利な数え方ですよね。
だったらこれだけ覚えておいたらいいのでは?と思われるかもしれません。でも実は「ひとつ、ふたつ、」の数え方も覚えておくと、後々習うであろう日本語特有の読み方を覚える際のヒントに応用できるのです。
この記事では、そんな数の数え方のお話をします。
まずは普通の数字の読み方が基本
日本語での数字の読み方を教える時、特に海外育ちで先に他の言語での数字の読み方を覚えたお子さんの場合、例えばそれが英語なら
one, two, three ・・・
に相当する読み方として
イチ、ニ、サン・・・
といった、普通の数字(アラビア数字)の読み方、数え方を教えることが多いのではないかと思います。
これを覚えると、大抵のものを1こ、2こ、3こ・・・と数えることができますし、
10以上になっても
11こ、12こ、・・・
と、後ろに『こ』さえつければ大抵のものに通用するので、オールマイティに使うことができますよね。(ただし1こを『イチこ』と読んでしまうこともよくあるので、そこは注意が必要です。)
ひとつ、ふたつ、の数え方を身につけておくと楽になる3つのこと
それでは、ひとつ、ふたつ、の数え方を身につけておくと楽になる3つのこととは一体何でしょうか。
基本的な数字の読み方である『イチ、ニ、サン・・・』を身につけ、何か数える時は『1こ、2こ、3こ・・・』で通用するならそれで十分じゃないの、と思われるかもしれません。確かに幼少期ならそれで十分。でも、それだけで終わらないのが日本語の難しいところ。
ここでは、ひとつ、ふたつ、の数え方を身につけておくと他に応用できて、覚えるのが楽になる3つのポイントをご紹介します。
漢字学習の第一歩をスムーズに
まず最初の楽になることとは、漢字の学習についてです。
「ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」という数え方については、現行の小学1年生の教科書(上巻)の終わりの方にある「かずと かん字」という単元で、漢数字の学習とともに出てきます。
新出漢字として一から十までの漢数字を習うのですが、教科書では
一つ たたくと、こぶたが 一ぴき。
二つ たたくと、こぶたが 二ひき。
三つ たたくと、こぶたが 三びき。
・・・
という文章があり、それぞれの漢字について『いち』と『ひと(つ)』のように、二通りの読み方を学習します。
漢字は一つの文字でも読み方が複数あることが、ひらがなやカタカナとは大きく違います。
また、漢字には画数や書き順という概念があることや、漢字は文字自体にそれぞれ意味があることも学ぶのですが、その点もまたひらがなやカタカナとは大きく違う点です。
漢字学習のスタートは、小学一年生の国語学習の中で大きな節目とも言えるものです。
特に漢数字は一年生が学習する漢字の中でも初期に出てくることが多いので、この単元に入る前に「ひとつ、ふたつ、」の数え方を空で言えるくらいに身につけておけば、漢字の読みを覚えるという点ではとても楽になります。
結果、余裕を持って取り組むことができ、漢字学習の第一歩をスムーズに進められることにつながるのではないでしょうか。
人数の数え方を覚えるヒントに
二つ目の楽になることは、人数の数え方を覚える時のヒントになる、ということです。
「人」という漢字はまず小学一年生で『ひと』という読み方として学習し、その後で『にん』という読み方を習います。「一人、二人」は熟字訓といって、二字以上の単語に当てた特別な訓読みの読み方なので、一年生でこの読み方を覚える必要はありません。
とはいえ漢字とは関係なく人を数える単位として覚えてもらいたいことですし、日常生活でも人数を言う機会は結構あると思います。
ただ、ひとり、ふたり、さんにん、・・・と数えていく時に、特に最初の『ひとり、ふたり』がなかなか出てこない。
そこで『ひとつ、ふたつ、』の数え方をヒントにするわけです。
一人(ひとり)→ ひとつ の『ひ』で始まる
二人(ふたり)→ ふたつ の『ふ』で始まる
という具合です。
つまり『ひとつ、ふたつ、』という数え方が定着していることが『ひとり、ふたり、』の読み方を覚える時のヒントになるわけです。
日付の読み方を覚えるヒントに
そして三つ目の楽になること、これは上でご説明した人数の数え方と同じパターンなのですが、日付の読み方を覚える時のヒントになるということです。
日付の読み方は一年生の教科書(下巻)の「日づけと よう日」という単元で学習します。
一月一日 お正月。
二月二日は みんなで こたつ。
三月三日は ももの 花。
・・・
という文章から始まり、最後は『十二月二十日』まで続くのですが、ここで『ひとつ、ふたつ、』の数え方が、日付の読み方を覚える際のヒントに応用できます。
人数の時と同様に、日付の読み方の最初の一文字が『ひとつ、ふたつ、』の数え方とほぼ同じであることを利用するわけです。
一日(ついたち)
二日(ふつか)→ ふたつ の『ふ』で始まる
三日(みっか)→ みっつ の『み』で始まる
四日(よっか)→ よっつ の『よ』で始まる
五日(いつか)→ いつつ の『い』で始まる
六日(むいか)→ むっつ の『む』で始まる
七日(なのか)→ ななつ の『な』で始まる
八日(ようか)
九日(ここのか)→ ここのつ の『こ』で始まる
十日(とおか)→ とお の『と』で始まる
ただし残念ながら一日、八日、二十日に関してはこのルールが適用できません。
『一日(ついたち)』という言葉は月の第一日目を表す『月立ち(つきたち)』が語源といわれています。もともとは『朔、朔日』という漢字だったのを代わりに『一日』が使われるようになったという言わば当て字のようなものなので、これはもう単に覚えてもらうしかありません。
『二十日(はつか)』も一日(ついたち)と同じく熟字訓なのですが、これも数え方の応用が効かないのでこのまま覚えてもらうしかないようです。
『八日(ようか)』に関しては、八つの『や』と八日の『よ』が同じ“や行”であることが多少のヒントにはなるかもしれませんね。
ちなみに、一日、二日、二十日、の3つについては、熟字訓という特別な読み方であるため教科書でも最初からふりがながふってあります。
まとめ
いかがだったしょうか。
この記事では、『ひとつ、ふたつ、』の数え方を身につけておくと
漢字学習の第一歩がスムーズになる、
人数の数え方に応用できる、
日付の読み方に応用できる、
という3つのポイントをご紹介しました。
何気なく使っている『ひとつ、ふたつ、』の数え方が、意外と他の数え方のベースにもなっていることに改めてお気づきいただけたかと思います。
特に日付の読み方については、四日(よっか)と八日(ようか)など、子どもや外国語話者には聞き分けるのが難しいものもあるので、『ひとつ、ふたつ、』という数え方が身についていることが少しでも覚えるヒントになるといいなと思います。
『ひとつ、ふたつ、』の数え方、ご家庭でもぜひ普段の生活に取り入れてみて下さいね。